ADHDっぽいかもしれない?
ADHDのことを多少なりとも、ご存知の方は、よくある「ADHDチェックリスト」に自分のこと照らし合わせて自己診断したことはあるでしょう。
大人の(神経)発達障害やADHDなどはそうやって認知されつつ、かつ広く知られるようになってきている気がします。
「チェックリスト」の内容やADHDの特徴などを読むと、誰しも『当てはまるところあるなぁ』と感じ、
(神経)発達障害そのものに親近感というか、
『自分もそうかもしれない?』と思うこともあると思います。
親近感を持ってもらえるのは、そのこと自体は良いことだと思います。
でも、ちょっと待って!と思うこともあります。
(神経)発達障害の診断は、医者なかでも専門医のライセンスがある人に限られたものです。
自己診断で『私、ADHDだから〜』って言うのと、
『私、血液型O型だから〜』と言って、
性格を語るのは、意味が違うってことです。
そもそも、血液型で性格をたった4つに分類してるのも如何なものかという話にもなりますが、一般論として性格の話をするのに血液型や星座の話をすることと、ADHDのせいにしたり&されたりすることは同じではないのです。
どうしてかって、本当にADHDや(神経)発達障害などで苦しんでいる人、悩んでいる人、どうしようもなく困っている人がいるからです。
ADHDや(神経)発達障害は個性か?
という話がよくでます。
私は個人的には「愛すべき個性」だと思っています。
ADHDや発達障害を持つ人たちに、実際たくさん関わってきて、そのおもしろさ、才能、独特の表現、感受性、色んなユニークさをそれぞれが持っていることを知っています。
でも、苦しんでいる人、困っている人を目の前にして、真っ先に「個性」だなんて言えません。困って苦しんでいる時っていうのは、納得できていない状態です。ADHDと診断されて(自己診断でも)、『なるほど!だからか、だったら、切り替えよう』と無理な努力を方向転換したり、アプローチを変えてみたり、思い切って諦めたり(笑)、と納得して腑に落ちた人もいるでしょう。
その一方で、やっぱり苦しんでいる真っ最中で、状況が変えられない、変わらない人もいるのです。病院でドクターから診断が出たとしても、状況が変えられない、変わらないのであれば、本当にどうしようもなく、何を始めることすらできない時だってあるのです。
ところで、病院での専門医による(神経)発達障害の診断ではどんなことをするかご存知ですか?
#DSM-5
というアメリカ精神医学会が出版した「精神障害の診断と統計マニュアル」を基準にしたチェックリストを[家庭用][学校用]でそれぞれ付けてもらうのですが、このDSM-5の話は少々専門的で長くなるので、次回^_^
現在のところ、(神経)発達障害の原因は、脳の神経の未発達あるいは偏りであるという仮説が最有力です。周りの人に決して劣っているわけではないのです。ちょっとズレていたり、視覚、聴覚や触覚などの五感がちょっと鋭敏だったり鈍感だったりするんです。
私もそれらの仮説に基づいて、脳神経および脳機能の研究をしてきました。ですが、ほんの些細なことなので、CTやMRIなどの画像診断では検出されませんし、一部の症例を除いて脳波異常も認められません。
医学的な疾患の中で「精神疾患」の類の多くは、そもそも客観的なデータで診断されることがないのです。
DSM-5が何年かおきに改訂されているのも、臨床データや基礎研究に基づいた医学の発展によるものだけではありません。「精神疾患と社会とのあり方」そのものが変化していることに対応して診断名が変化したり改訂されたりを繰り返した「歴史」でもあるのです。
主観が優先されてしまうから、
だから、本来、診断は難しい。
ADHDか自閉症スペクトラムとか、症例によっては、すごく実際は似てる部分も持ち合わせているので、「障害(症)」ではなく、未だ「個性」でもなく、
まず「個」を観ていくこと(観察すること)が必要だと思っています。
血液型や星座のように、カテゴライズする(される)前にあなたも、あなたの周りのその人もひとりの「個」です。
ADHDや(神経)発達障害を持つ人たちは、そもそも規格外なヒトが多いです。枠や名前にとらわれず、そのまま、ありのままの自分をまず観察し、記録し、それを観る。
そこからが、始まりです。
#神経発達障害
#脳科学
#ADHD
#DSM-5
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